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マーマレード文庫&マーマレードコミックス > 記事 > マーマレード文庫 > 囚われの令嬢は、極上御曹司から抗えない深愛を刻まれる

書籍詳細

  • マーマレード文庫

囚われの令嬢は、極上御曹司から抗えない深愛を刻まれる

  • マーマレード文庫
  • 著者: 西條六花
  • 表紙イラスト: 南国ばなな
  • ISBN:978-4-596-82328-1
  • ページ数:320
  • 発売日:2024年5月8日
  • 定価:650+税

キーワード

  • 恋愛経験ゼロ
  • 虐げられ
  • 過保護
  • 嘘・秘密
書籍
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電子書籍
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あらすじ

「君のためなら、何だってしてやる」彼の極上愛で檻から攫われて――
未来を見通す千里眼を持つ絢音は、親戚に利用され軟禁状態の生活を強いられていた。逃げ出した先で、御曹司の哉に保護されることに。ある事件の調査を頼まれた絢音は彼の力になろうと健気に頑張るが、哉は何よりも彼女の身を案じ、過保護に愛を注いできて…!今まで能力しか求められなかった絢音は、彼に与えられる初めての激情に揺さぶられ――。

キャラクター紹介

渡瀬絢音(わたせ あやね)

千里眼という特殊な能力を持っているために、世間から遠ざかる生活を強いられていた。

日坂 哉(ひさか はじめ)

総合商社の御曹司で、包容力があり端整な容貌の持ち主。妹の自殺の原因を調べている。

試し読み

 彼に告白されてから一週間、互いの間の空気がぐっと甘くなり、絢音の心はときめきで満ちている。日坂の端整な顔、低く優しい声、落ち着いた立ち居振る舞いにドキドキし、二人で過ごす時間を心待ちにしていた。
 その気持ちは紛れもなく恋だが、そうしたことに現を抜かす自分に後ろめたさもおぼえる。
(日坂のさんのご両親はわたしにすごく優しくしてくれるけど、自分たちの息子と恋愛関係になるのには反対なんじゃないかな。本当はわたしの千里眼の力を気持ち悪く思っているかもしれないし、家柄だって釣り合ってないし)
 母の実家である天堂家は非常に裕福だが、それは祖母の御影と絢音が千里眼で築いた財によるものだ。
 由緒正しい名家である日坂家からすれば成金と変わりなく、もしかすると胡散臭い新興宗教のように見えているかもしれない。彼らがそんな家の娘である絢音は息子にふさわしくないと考える可能性は、充分にある。
 そんなふうに考える絢音をよそに、こちらの肩越しに室内の様子を見た日坂が問いかけてきた。
「何か調べ物をしていたのか? 優佳の遺品からどこかの場所が視えたとか」
「違うんです。あの、オンラインスクールや通信制高校について調べていて」
 中学高校と学校に通えなかったことは絢音のコンプレックスであり、天堂家の問題が片づいたあとに勉強がしたいと考えていた。
 そう説明すると、ソファに座ってそのウェブサイトを覗き込んだ彼が微笑んで言う。
「君に勉強したいという意欲があるなら、いいと思うよ。俺は応援する」
「大勢の人が集まるところに行くのは少し怖いので、オンラインならどうかと思ったのですけど」
「そうだな。今はいろいろなやり方があるから、自分に合った勉強方法を模索するといい」
 隣り合って座る日坂とふいに視線が合い、絢音はドキリとする。
(あ、……)
 わずかに前髪が掛かる彼の目元は涼やかで、目が離せなくなった。すると日坂が腕を伸ばし、絢音の頬に触れながらささやくように言う。
「そんな目で見られたら、うっかり自制心の箍が外れてしまいそうになる。せっかく段階を踏もうとしてるのに」
「あの……」
 確かに告白してきた日に彼と初めてキスをしたが、その後は唇ではなく髪にしたり、軽く抱き寄せたり手を繋ぐなど、控えめな接触に留まっている。
 これまで恋愛経験がない絢音にとっては、たったそれだけの接触でもいっぱいいっぱいだが、ほんの少し物足りなさがあるのも否めなかった。絢音は言葉を選びながら言った。
「日坂さんに触れられるとドキドキしますし、これ以上進むことに怖い気持ちもあります。でも……その反面、もっと近くに行きたくてたまらなくなるんです。これって我儘なんでしょうか」
「君の中に俺を好きな気持ちがあるなら、それは当然の感情じゃないかな」
「日坂さんも……?」
「もちろん。俺は君が好きだから、触れたい欲求はあるよ」
 それを聞いた途端、絢音の心臓の鼓動が速まる。
 大人の男女のつきあいなら、これ以上の行為があって当たり前だ。社会経験のない絢音にも一応そうした知識はあって、「自分は日坂に我慢させてしまっているのかもしれない」と頭の隅で考える。
(だったら……)
 自分も成人済みの大人の女性として、一歩踏み出してもいいのではないか。
 そんな思いがこみ上げ、絢音は日坂の顔を見つめつつ意を決して言う。
「あの……じゃあ、触れていただけませんか」
「えっ?」
「わたしは日坂さんが好きですから、もっとあなたに近づきたいんです。誰かに対してこんなふうに思うのは初めてですけど、でも決して嘘じゃありません」
 勢い込んでそう言うと、彼が驚いたように眉を上げる。
 絢音からすれば清水の舞台から飛び降りるような気持ちで発した言葉だったが、日坂が突然噴き出しながらこちらを見た。
「そんなふうに、妙に意気込まれてもな。君はこれ以上関係を進めた場合、一体どんなことをするのかちゃんとわかってるか?」
「も、もちろんです。わたし、そこまで子どもじゃありません」
「このあいだは、少し匂わせただけでどぎまぎしていたのに?」
「それは……」
 絢音は口ごもり、モソモソと答える。
「あのときはいきなりでしたから、心構えがなくて……。でも今は違います。日坂さんのことが好きで、世間一般にいわれるような本当の恋人になりたいって思っています」
 すると彼を取り巻く空気が、わずかに変わる。
 日坂の大きな手が頬に触れ、心臓が跳ねた。彼は熱情を押し殺した目でこちらを見つめ、ささやいた。
「そこまで言うなら、本気にするよ。ちょうど今は、この屋敷に俺と渡瀬さんしかいないし」
「は、はい」
「じゃあ、キスからだ」
 日坂の秀麗な顔が近づき、唇に触れるだけのキスをされる。
 思いのほか柔らかい感触に陶然としたのも束の間、唇の合わせを舌先でチロリと舐められ、かあっと頬が熱くなった。
 ゆるゆると舌先を動かされ、絢音は条件反射のようにわずかに唇を開く。すると彼の舌がそっと口腔に忍び込み、思わず吐息を漏らした。
「は……っ」
 こちらを怖がらせないようにという配慮なのか、日坂は焦らずにキスを深くしていった。緩やかに絡められ、ぬめる感触にじわじわと体温が上がる。他人の舌の感触と温かな息遣いは鮮烈で、絢音は何も考えられなくなった。
 やがてどのくらいの時間が経ったのか、ようやく唇を離されたときはすっかり目が潤んでいた。そんな絢音を見つめた日坂が、吐息の触れる距離で問いかけてくる。
「平気か?」
「……っ、はい」
「俺の部屋のベッドに行こうか」
 手を取って誘われ、絢音は夢見心地で自室を出て廊下を進んだ。彼の部屋にはこの屋敷に来てから何度も入ったことがあり、室内の様子はわかっている。
 今まで何気なく見ていた日坂のベッドでこれからすることを思うと、頬が熱くなった。だが、逃げたい気持ちは一切ない。もっと彼に近づきたくて、今までとは違う顔を知りたくて、たまらなくなっている。
「あ……っ」
 部屋に入るなり身体を引き寄せられ、腕の中に抱きしめられた絢音は息をのんだ。
 日坂の身体は大きく、スーツ越しに硬い筋肉の感触がつぶさに伝わってきて、女性とはまったく違うことに驚きをおぼえる。
 そのまま唇を塞がれ、最初から深いキスに翻弄された。ベッドに押し倒され、覆い被さってきた彼の手が胸のふくらみに触れる。
 キスの合間、絢音は息を乱しながら「あの」と口を開いた。
「ん?」
「わたし、どうしたら……」
 身の置き所のない気持ちでそう問いかけると、日坂が笑って答える。
「何もしなくていいよ。俺がすることに、素直に声を上げてくれればいい」
「あ……っ」
 首筋に彼の唇を感じ、かすかな吐息に肌が粟立つ。
 日坂の手は決して乱暴ではなく、こうした行為が初めての絢音を時間をかけて溶かした。触れ合う素肌の感触、彼の身体の重さ、体温に陶然とする。
 気がつけば切れ切れに声を漏らしており、絢音が上気した顔で日坂を見上げると、彼がこちらを見下ろして言った。
「可愛い──絢音」
 日坂が中に押し入ってきたとき、強烈な圧迫感と痛みに、絢音は思わず呻いた。
 すると彼はこちらを気遣って少しずつ進み、すべてを受け入れたときはすっかり汗だくになっている。
 ポロリと零れた涙を唇で吸い取った日坂もまた、額にじんわりと汗をかいていた。絢音の内部が馴染むまで動かずにいた彼は、やがて浅い呼吸をするこちらを見下ろしてささやく。
「──動くよ」
「あ……っ!」
 緩やかに突き上げられると圧迫感が強まり、絢音は握り合わせられた手に力を込める。
 少しずつ激しくなる動きに翻弄され、声を我慢するのが難しくなった。日坂の熱を孕んだ眼差し、男らしい身体、押し殺した息遣いには大人の男の色気がにじんでおり、胸がいっぱいになる。
 こんなにもきれいな男性が自分を好きで、こうして身体を繋げている──その事実に身体の奥が甘く疼き、絢音は彼に向かって呼びかけた。
「……日坂さん……好き……っ」
「……っ、俺もだ」
 行為が終わったあと、疲れ果てた絢音は束の間微睡んでいたらしい。
 気がつくと日坂の裸の胸に深く抱き込まれていて、心臓が跳ねた。わずかな身じろぎで絢音が起きたのに気づいた彼が、髪を撫でながら声をかけてくる。
「起きたのか。身体は平気か?」
「あの、すみません、わたし……」
 互いに裸なのが恥ずかしくて日坂の胸で顔を隠すと、彼がクスリと笑って言う。
「そういう可愛いことをされると、また触れたくなるよ」
「も、もう充分ですから……」
「ははっ」
 日坂が珍しく声を上げて笑い、絢音はじんわりとした幸せを感じる。
 身体の奥にはまだ彼が入っているかのような異物感があり、鈍い痛みもあるが、それを凌駕するほどの甘い気持ちで満ちていた。
(……わたし、本当に日坂さんとしちゃったんだ)
 籠の鳥のような暮らしから一転、日坂と出会い、こうして恋人になれたことに深い感慨がこみ上げる。肌を合わせた途端、今まで以上に距離がぐっと近づいた気がするのが不思議だった。
 それは彼のほうも同じらしく、絢音の身体を抱き寄せて髪に鼻先を埋めながら言う。
「君とこういう関係になれて、うれしい。もっと時間がかかるかと思っていたから」
「わたしも……うれしいです。日坂さんに我慢をさせているんじゃないかって思っていたので」
「その呼び方だけど、そろそろやめないか?」
「えっ」
「苗字呼びだと、他人行儀に聞こえる」
 絢音はドキドキしつつ問いかけた。
「……哉さん、ってお呼びすればいいですか?」
「ああ」
 日坂が指通りを確かめるようにこちらの黒髪を梳き、笑って告げた。
「絢音は俺の恋人になったんだから、気兼ねせずこの屋敷にいてほしい。優佳について調べるのを、自分の義務だとか思わなくていいから」
「でも……」
「今度は調査目的じゃなく、純粋な彼氏彼女として出掛けよう。どんなところでもエスコートするよ」
 彼が自分を思いやってそう提案してくれているのだとわかり、絢音は目の前の身体に強く抱きつく。そして日坂の匂いを胸いっぱいに吸い込んでささやいた。
「哉さんのことが……すごく好きです。千里眼で視る以外に他人と関わらずに生きてきたわたしが、こんなにも誰かを好きになれるなんて思いませんでした」
「俺もだよ。絢音を見ていると優しくしたい気持ちがどんどんこみ上げて、たまらなくなる。これまでは仕事一辺倒の朴念仁だったのにな」
 彼が抱きしめる腕の力を緩め、額にキスをして提案する。
「両親が帰ってくるかもしれないから、その前に一緒に風呂に入ろうか」
「い、一緒にですか?」
「ああ。恋人同士なんだから、そのくらい普通だろう」
 普通──と言われると断れず、絢音は渋々「はい」と答える。


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