書籍詳細
副社長と秘密の恋人契約
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あらすじ
イケメン御曹司からのまさかの溺愛宣言!?
誰もが憧れる頭脳明晰で容姿端麗な副社長・嶋本和樹から、突然「恋人になってほしい」と迫られた亜矢。でもそれは彼の意に添わない政略結婚を避けるための偽の恋人契約だった! ただの契約関係で愛はないはずなのに「もっと亜矢のことを知りたい」と甘く囁かれ、ときめく心が抑えられない。そんな時、亜矢の前に和樹の婚約者と名乗る女性が現れて……。
キャラクター紹介
谷口亜矢
二十五歳。恋愛初心者のOL。和樹と出会って、恋する幸せに気づく。
嶋本和樹
三十二歳。イケメンエリート副社長。亜矢の純粋な心に惹かれて彼女を溺愛していく。
試し読み
「ここから、夜景が一望できるんですね。こんな場所があるなんて、知りませんでした」
思わず息を呑むと、副社長がさらに歩みを進めた。私もつられるように、またあとについていく。
「昼間は、カフェで使えるんだ。夜は、こうやって、夜景を堪能する場所に変わる」
「そうだったんですね……」
ニューヨークから帰国してきたばかりなのに、なぜ詳しいのか気になってしまった。もしかして、日本にいたときに、恋人と来たことがある……とか?
気になったけれど、初対面の副社長相手に、それは聞けない。そもそも、質問攻めにあっていた副社長に、おせっかいながらも助け船を出したつもりなのに……。
その私が、副社長のプライベートなことを、あれこれ聞くことはできなかった。
宝石のようにキラキラと光る夜景を眺めながら、隣にいるのが副社長であることが不思議に感じる。
こんな姿を、美奈たちに目撃されたら、どう思われるだろう。急にいたたまれなくなって、思わず口に出していた。
「本当に、軽々しい行為ですみませんでした」
副社長を見つめたあと、頭を下げる。すると、彼の優しい声が聞こえた。
「どうして、謝るんだ?」
「それは……、今この状況を、会社の人に見られたら、どう思われるだろうって思いまして。副社長に迷惑がかかります」
「俺に迷惑?」
「はい……」
ゆっくり顔を上げると、穏やかな笑みを浮かべる副社長がいる。その笑顔に、胸が高鳴りそうになってしまう。
「私が、副社長を誘ったとか、そういう噂ならいいんです。でも、それでも副社長を巻き込むわけですから……。今夜は、副社長に楽しんでいただく会なのに」
先を考えなかった行動を申し訳なく思っていると、副社長は小さく首を横に振った。
「俺は構わないよ。だけど、こうやって気遣ってくれたきみが、誤解をされるようなことになるのはよくないね……」
「副社長……」
気遣ってくれているのは、彼のほう……。私のせいで、こうやって振り回されているのに、気遣いだと言ってくれて。心が温かくなるのを感じながら、副社長の気持ちを素直に受け止めた――。