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マーマレード文庫&マーマレードコミックス > 記事 > マーマレード文庫 > 離婚覚悟の政略身ごもり婚~敏腕外科医と再会したら、一途愛を注がれ赤ちゃんを授かりました~

書籍詳細

  • マーマレード文庫

離婚覚悟の政略身ごもり婚~敏腕外科医と再会したら、一途愛を注がれ赤ちゃんを授かりました~

  • マーマレード文庫
  • 著者: 望月沙菜
  • 表紙イラスト: 乃斗ナツオ
  • ISBN:978-4-596-70661-4
  • ページ数:320
  • 発売日:2022年5月9日
  • 定価:630+税

キーワード

  • 妊娠・身ごもり
  • 政略結婚
  • 医者
  • 嘘・秘密
書籍
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電子書籍
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あらすじ

別れるつもりで結婚したのに、まさかの妊娠発覚!?
失恋を忘れられずにいる音月に、突然の縁談。お見合いの席で再会したのは、失恋相手のエリート外科医・周侍で…!家業のため、一年で離婚、という条件つきの政略結婚をすることに。ところが、新婚生活は予想外に甘く、身も心も蕩ける日々の中、まさかのご懐妊!?周侍の負担になることを恐れ、妊娠を隠す音月だけど、彼の溺愛はますます加速して…。

キャラクター紹介

椎名音月(しいないつき)

生花店に勤める26歳。昔、失恋した周侍を今も一途に思い続けている。

桜沢周侍(さくらざわしゅうじ)

大病院の御曹司で外科医。新婚生活で音月を甘やかす。

試し読み

それから数週間経ったある日の金曜日。
「音月って明日は仕事休みだったよね」
「確か……ちょっと待って確認する」
実は先月から私のシフトが変わった。
今までは週に二回のお休みだったが、週四日の勤務になった。
お花の仕入れのある日は水揚げ作業があるため、仕入れのある月、水、金曜日とスタッフの人数の少ない日に入っている。
そして月に二回必ず日曜日休みがあるのだが、最近土日のパートさんが入ってきたため、土日続けてのお休みが増えたのだ。といっても私の場合、妊娠しているので、シフトを組んでいるオーナーが配慮してくれているのだ。
「明日、明後日は休みかな」
「じゃあ、明日旅行に行くから、準備をしておいて」
周が突然旅行に行こうと言いだした。
しかも明日と聞いて驚いた。
「急にどうして? 何かあるの?」
特別な理由でもあるのかと思い尋ねた。
「結婚してから二人でどこかに出かけたことがないなと思って……それに妊娠中に旅行に行くなら安定期が最適な時期かなと思って」
と照れながら話してくれた。
確かに私たちはデートらしいデートもしたことがない。
休日に出かけるといえば買い物に行くぐらい。
私が妊娠に気づいた頃、温泉に行きたいと周は私に話していたけど、私は真に受けなかった。
だって周は忙しい人だし、あの時は妊娠していることを秘密にしていたから。それに新婚旅行に行く予定もなかったから、旅行に行けるなんて思ってもいなかった。
「ありがとう……でもどこに行くの? 温泉とかテーマパーク?」
「それは秘密。とにかくそういうことだから準備だけ頼むよ」
「はい」
周と旅行に行けるなんて、夢みたい。

翌日、私たちは朝早く出発した。
「何かあればすぐに言ってくれ。我慢だけはしないこと。いいね」
車に乗り、シートベルトを装着したところで念を押された。
「はい」
つわりも終わり、体調はすこぶるいい。
少し前では考えられないほど、食欲旺盛で何を食べても美味しい。
でも先日千穂先生から、
「赤ちゃんの分までと言って甘いものをとりすぎないように」
と言われた。
体調がよければ適度な運動をするようにとも言われた。
高速に乗って富士山の方へ向かう。
周は私の体調をすごく気遣ってくれて、無理な運転はせず、休憩もこまめにとってくれた。
お昼は湖の近くにある美味しいピザのお店に連れていってくれた。
何を食べても美味しくて、自分でも驚くほどたくさん食べてしまった。
周はそんな私を、
「食べたら運動しなきゃな」
と揶揄う。
でもこんな何気ないやりとりも私にはとても大切な時間だ。
居心地がよすぎてこんな時間が永遠に続けばいいのにと欲張りになってしまうのだ。
食事を終え店を出ると、周は本当に食後の運動だと言って、湖沿いの遊歩道を歩いた。
それから再び車に乗ると、ドライブをしながら目的地へ向かった。
秘密と言われたので、正直どこに泊まるのか想像つかない。
でもすごく楽しい。だって大好きな人と旅行できるなんて思ってもいなかったから……。次があるかはわからないから今を楽しもう。
車を走らせること一時間。
車窓から景色を眺めていると緑が増え、別荘のような建物がたくさん見え始めた。
大病院の院長の家族なら、別荘があってもおかしくない。
もしかしたら周の家の別荘に行くのかな? と思ったが、そのうち別荘が見えなくなり車はさらに山深い場所へ向かう。
一体どこへ向かっているのだろう。そう思った時だった。
小さな木の看板が見え、車はウインカーを出した。
見えたのは古い西洋のお城のような建物。まるでグリムやアンデルセンの世界にでも引き込まれるような、雰囲気のある洋館だった。
車を駐車場に停め、アーチ型の大きなオベリスクをくぐると、イングリッシュガーデンが迎えてくれた。
車から見えた二階建ての洋館に入ると、スタッフが出迎えてくれた。
内装も外観に負けないほど素晴らしかった。
ソファ、テーブル、カーテン、棚に飾られた小物たちは恐らくどれもアンティークだろう。そして所々に飾られている草花がアクセントになっている。
どれも素敵で見入ってしまう。
「音月、行くよ」
「はい」
周がチェックインを済ませてくれた。
部屋のキーを受け取ると、どういうわけか再び外へ。
「ねえ、どこへ行くの?」
「さあ、どこだろうね」
「ええ? 教えてよ」
イングリッシュガーデンの中を横切ると突然周が足を止めた。
「どうしたの?」
すると周が手を差し出した。
「危ないから」
彼は私の手を握ると、ボコボコとした西洋風の石畳をリードしながら歩いた。
私は彼のさりげない優しさにドキドキしていた。
そして長い石畳の先に見えたのは、戸建ての棟が五件ほど立ち並んでいるヴィラだった。
真ん中には噴水があり、それを取り囲むようにそれぞれの建物のドアが見える。
その中でも一番大きな建物の前で周は足を止めた。
「ここが今日泊まる俺たちの部屋だよ」
鍵を開けて中に入るとリビングが見えた。
周が言うには、一階はリビングで二階は寝室。この部屋もフロント同様、アンティークで温かみのあるインテリアで統一されており、天井は吹き抜けになっている。
「素敵な部屋」
「気に入った?」
「うん。とても」
それにしても、こんな素敵な場所を周はいつ予約していたのだろう。
「それはよかった。音月の好みに合いそうなホテルを探していたらここがヒットしたんだ。でも実を言うとネットで予約をしようとしたら満室で、結婚式の時じゃないけどキャンセルが出たら連絡が欲しいって電話したんだ」
「もしかして?」
周は満面の笑みで。
「ああ、キャンセルが出たんだ。どうやら俺は強運の持ち主かもしれないな」
「絶対にそう。だってこの部屋本当に素敵で、なんかおとぎの世界にきたみたいで……」
「君の喜ぶ顔を見ると、頑張った甲斐があるよ」
周は確かに強運の持ち主だと思う。
だから私との再会もその延長線上にあったと思って欲しいと強く思った。
「音月、驚くのはまだ早いよ。こっちにおいで」
リビングの大きな窓を開けるとプライベートガーデンがあった。
まるで海外のガーデニング雑誌に出てきそうな、ハーブをふんだんに使ったイングリッシュガーデンだった。
「すごい」
もっと他に言葉があるはずなのに、感動のあまり出てこない。
彼が私のためにしてくれていることが嬉しい。
「ここに決めた理由の一つがこれ。でももう一つあるんだ」
もう一つということはまだ何かあるってこと?
「ここを見て」
周の指さす方を見ると、すぐ横にはパーゴラがあり、石造りの露天風呂があった。
「露天風呂?」
「ガーデンを見ながら温泉に浸かる。温泉は安定期に入ったら大丈夫だって千穂から聞いて……今までつわりで大変だっただろう? だから今日は存分に楽しんでもらいたいんだ」
私のことを思ってここまでしてくれるの?
「周……本当にありがとう」
もしかしたら、あと数ヶ月でこの結婚に終止符を打たなくちゃいけなくなるかもしれないのに。
日を追うごとに周への思いが増している。
こんなことされたら本当に周から離れられなくなってしまう。
なぜこんなに優しくするの?
「音月? 気分でも悪いのか?」
周が心配するように私の顔を覗き込んだ。
歯を食いしばっていないと涙が出そうになる。
「ううん、なんでもない。びっくりしてるの」
「だったらよかったよ。今夜は何もしなくていい。ゆっくりしよう」
「はい」
夕食はフロント奥のレストランで、フレンチを食べた。
「音月」
「何?」
「まだ満腹じゃなきゃパンのおかわりできるけど」
意地悪そうにニヤリと笑う周。
「大丈夫です」
「ふ~ん」
周は私の返事を信用していない様子。
「意地悪」
口を尖らせる私を見て周は本当に嬉しそうに笑っていたのだが……。
宿泊者はみんなここで朝食と夕食をとる。
ここは若い人に人気があるようで、周りを見ると女性同士や、若いカップルが多く見受けられた。
だがレストランにいる女性たちの視線が、周に向けられていることに私は気づいていた。
でも周りのリアクションは納得できる。私も初めて主治医としての彼と会った時、かっこよすぎて視線を合わせられなかったもの。
「音月、どうかした?」
「え?」
「さっきから俺の顔をじっと見ているから」
無意識のうちに私は周を見つめていた。
「ごめんなさい。周がたくさんの視線を浴びているからすごいと思って見ていたの」
「え?」
視線を感じているその理由を理解していないようで、周は周りを見渡した。
すると周を見ていた女性たちは慌てて視線を戻している。
「もしかして気づいてなかった?」
周は頷きながら、戸惑っているようだった。
もしかして周は、自分がどれだけ魅力的な男性なのかわかっていないの?
「女性たちは周を魅力的だって思って見ているの」
小声で教える。
だが、当の本人は特に表情を変えることなく、
「俺は一人の人にそう思ってもらえればいいんだよ」
と私の目をまっすぐ見て答えた。


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