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マーマレード文庫&マーマレードコミックス > 記事 > マーマレード文庫 > 秘密の妊娠発覚で、契約結婚のS系弁護士が執着系ヤンデレ旦那様になりました

書籍詳細

  • マーマレード文庫

秘密の妊娠発覚で、契約結婚のS系弁護士が執着系ヤンデレ旦那様になりました

  • マーマレード文庫
  • 著者: 泉野あおい
  • 表紙イラスト: よしざわ未菜子
  • ISBN:978-4-596-75549-0
  • ページ数:320
  • 発売日:2022年11月9日
  • 定価:630+税

キーワード

  • 妊娠・身ごもり
  • 弁護士
  • 幼なじみ
  • 契約結婚
書籍
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電子書籍
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あらすじ

「愛される覚悟をしろよ」初体験→内緒のご懐妊→結婚→止まらない激愛!?
失恋のショックで幼馴染の相談相手・俺様ドSな律と一夜を共にし、初めてを捧げた直後に妊娠発覚した美海。しかも見合いが嫌な律は、美海との契約結婚を強引に決めてしまう。重荷になるのを恐れ、妊娠を隠し始まった新婚生活だけど…律は溺甘旦那様に豹変!熱を孕んだ律に毎日甘く攻め立てられ、封じ込めていた彼への想いが美海の中で疼き出し!?

キャラクター紹介

法上美海(ほうじょうみう)

厳しすぎる母親の言いつけを守り、彼氏と手も握れない29歳。会社員。

夏目 律(なつめりく)

超クールなやり手の弁護士。美海と同じマンションで育った幼馴染。

試し読み

「何回デートした?」
「三回」
 私が本当の回数を言うと、律は小さく息をのむ。
「……三回も。それから?」
「で、今日もデートの予定だったの。でも、仕事長引いて行けなくて」
「それで?」
「でも、今日はデートできないってメッセージ送っても返信ないし、もしかしてメッセージ見てなくて、ずっと待ち合わせ場所で待ってちゃいけないって思って走って、待ち合わせ場所に行って」
 思い出しただけで辛い。
 先ほどの場面がフラッシュバックして、唇を噛んで続けた。
「そしたら他の女の子とラブホテルから出てきた」
 あれはかなりの衝撃だった。
 山田さんとは会った回数は少なかったけど、メッセージのやり取りは多かった。
〈美海ちゃんはそのままでいいんだよ〉〈優しい美海ちゃんが好きだよ〉なんてメッセージをたくさんくれて、癒やされたし、心は通じ合ってると思った。
 きっとこの人なら、困ったときにも頼りになるだろうと思ったし、律から自立できる日も近いとも思った。思っていたのに……。
 他の女の子とラブホテルから出てきた彼を見て、突然のことに頭が真っ白になった私は、『その女の子、誰?』と手が震えながらも不倫ドラマよろしくたずねてみた。
『美海にかまってもらえなくて、寂しかったから』
 しかし、彼は当然のようにそう答えた。
 これには、私のほうが言葉に詰まった。
『私そういう男の人無理だから』
『そうだね。僕ももう無理かなって思ってたから別れて』
 事実は小説よりも奇なり。
 終わりはなんともあっけないものだ。
「それって、そもそも美海のほうが浮気相手だったんだろ」
「そんなことない。結婚を前提にって話だったし」
「ほんとに結婚なんてするつもりだったのか? 美海が?」
「私だってそういうことを考える年ごろなの。律も考えたほうがいいよ。律はまだまだ遊びたいだろうけど、真剣に思ってる相手との結婚とかきちんと考えないと」
 律はまっすぐ私を見つめて、それから真剣な顔で言い放つ。
「考えてるさ。ずっと」
 そう言われてドキリとした。
(そっか、律、結婚を考えてたんだ。律みたいな人だから当然だよね)
 でも本当に律が結婚したら、彼が遠くに行ってしまうようで寂しい気もした。
「ところで美海。そいつと何かしてないよな? 美海ができるわけないか」
 律が、ない、と断言したように言う。
 私はその物言いに思わずむっとして、きっぱりと答えた。
「そんなことないわよ」
 隣で律が息をのむ。
 その様子にハッとして、「いや、何もしてない」と誤魔化す。
(危ない危ない。律に知られて母にバレたら大変だ!)
 しかし、律は私の目をじっと見て眉を動かした。
「嘘、だな」
 律の声が絶対零度に冷える。思わず肩がビクリと跳ねた。
「本当のことを言え」
「や、やだよ! お母さんに言うでしょ」
「言わない。だから素直に言え。したのか」
 律は確信しているように言う。
 私を誰よりも知る彼に、もう嘘はつけないだろうとため息をついた。
「……した」
 恥ずかしさから、律の顔を見られないまま続けた。
「今回ははじめてしたの。だから今までと違うって思ってた」
 だって、結婚を前提にって真摯に告白されて、その上、付き合って一か月よ。
 会ったのは三回だったけど。
 少し強引にキスされて驚いた。
 そのまま身体を触られそうになって、その先は思わず拒否した。
『そういうことは結婚してからじゃないとしちゃだめじゃない?』
 そう言ったら彼はわかってくれたようで、それ以上はしなかった。
「本当に、したんだ」
「そうよ。律にはバカらしい話だろうけど」
 でも、と焼き鳥の串を持ち上げ、それを見つめる。
 私はそのキスをしても、心が動かなかった。
 不思議と愛情めいたものが相手に湧かなかった。
 一緒にいるとき、少しはドキドキしたし、恋してると思ってた。
 なのに、実際にキスしてみると、相手に嫌悪感すら持ってしまったのだ。
 そんな気持ちが伝わっていたのか、彼にはしっかりと浮気をされたのだけど……。
「ほんとバカ」
 聞いたこともないくらい低い律の声。
 律はやはり怒りを引き摺っていた。
 幼馴染だけあって、元カレの浮気に一緒に怒ってくれているのかもしれない。
「律……」
 私がちょっと感動しながら名前を呼んだのに、律はさらに不機嫌に言った。
「美海はバカだ」
「わ、私?」
「美海以外に誰がいるんだ。そんなバカ」
「またバカって言った。もっと全力で慰めてよ! かわいそうだね、とか言ってよ。一応はじめての相手だったんだから!」
「カワイソウダネ」
「棒読み……」
 自然と泣けてきた。今すぐ優しく慰めてくれる幼馴染が欲しい。
 でも、忙しそうに動き回る初実も、隣でなんだか黒いオーラを放って怒っている律も、浮気されて振られた私を優しく慰めてはくれない。
 泣きながらビールを呷る。
 あ、なんだか頭くらくらしてきた。今日はちょっと飲みすぎた。
「まさかと思うけど、そいつに金貸したりしてないだろうな」
 そう聞かれて、私はぼんやりする意識の中で口を開く。
「あげた。なけなしの二百万」
「はぁ?」
 突然、律が素っ頓狂な声を上げた。
「え、何よ?」
「バカすぎる! そんなのさっさと取り返せよ」
「元カレのお母さんの入院費と手術費だったの。だからどのみち手元にないって」
「あのな──」
「いいの。一応でも好きだと思った人だし、結婚も意識した人だし。そのお金で山田さんのお母さんが助かったならよかったって思った。少しは恋してたって思ったし」
「少し? 少しは好きくらいで、したのか」
「だって、もう私もいい年だし。結婚したいって言われたら浮かれるよ」
「バカが」
 私はぐい、と最後のビールを飲み干すと、カウンターに突っ伏す。
「私の気持ちが違ったら、山田さんの気持ちも何か変わってたのかな」
 お母さんに言われた通り、大事に大事に自分を守ってきた。
 でも気づいたら周りはみんなもうあたり前に最後までしてて、そういう人ほど、仕事も恋愛もうまくいってた。律だってそのうちの一人だ。
 みんなどうやって本気で人を好きになるんだろう。
 もっと長く付き合えば、変わってきたのだろうか?
 キスだって、一回きりだからわかりにくかったのだろうか?
 もっと先までしていれば何か変わったのだろうか……?
「変わらないだろ。美海がただ騙されただけで」
 律は不機嫌そうにきっぱりと言い放つ。
「騙されてないし。律にはわかんないよ!」
 思わず叫んでいた。
「みんなも、律も、どんどん前に進んでくのに、私だけ全部うまくいかなくて。ずっと取り残された気がしてた。私は何やってもだめなんだよ」
「だから、少し好きくらいで、したのか」
 律の怒ってる低い声が耳に届く。
「した?」
「『した』んだろ」
 あぁ、キスのことね。
「うん、した」
 隣で、律がごくりと息をのむ音が聞こえた気がしたけど、私はぼんやり考えていた。
 今思えば大事なファーストキス、なんでしちゃったんだろう。
 そりゃこんな年齢になって、初めてのキスとか、どうなんだろうって思うけどさ。
 でも、こんな結果に終わるのなら、結婚まで守っていればよかった。
(やだ、泣きそう。むしろ泣いてる)
 涙を拭おうとした瞬間、隣の律がガタンと勢いよく立ち上がった。
 驚いて律を見上げる。
「それ、確かめさせて」
 突然律がそんなことを言い出し、よくわからないまま、うん、と頷いたら、律に手を引かれた。
 大きく骨ばった手。強い力と熱すぎるくらいの体温。
 まるでこれまでの彼氏全員の思い出を全部上書きしてくれるような手だと思った。
 それに手を握られているのに嫌悪感は全くなくて、むしろ気持ちよくて、もっと握っていたいと思う。
 そう思ってから、慌てて手を離そうとした。
「律は真剣に思ってる相手がいるんでしょ」
「あぁ」
「なら他の人と手なんてつないだらダメ。彼女だって──」
「彼女なんかいない。俺は美海の手を握りたいからこうしてるだけだ」
 ぴしゃりと言われて、もう一度手を強く握られる。
 そのとき私は、ふわふわする意識の中、久しぶりに律と手をつないだなぁと感じて、微笑んだ。
「こうして手をつなぐの小学生のときぶりだね」
「あぁ。あの頃とは、これからすることが随分違うけどな」
 律の何かを決意したような声が耳の奥に届く。


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