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マーマレード文庫&マーマレードコミックス > 記事 > マーマレード文庫 > 社内極秘婚ですが、溺愛旦那様の最高潮の独占欲で蕩かされています

書籍詳細

  • マーマレード文庫

社内極秘婚ですが、溺愛旦那様の最高潮の独占欲で蕩かされています

  • マーマレード文庫
  • 著者: 高田ちさき
  • 表紙イラスト: 幸村佳苗
  • ISBN:978-4-596-75553-7
  • ページ数:320
  • 発売日:2022年11月9日
  • 定価:630+税

キーワード

  • 新婚
  • 嘘・秘密
  • オフィスラブ
  • 御曹司
書籍
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電子書籍
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あらすじ

「俺の愛情の重さを教えてやる」恋愛禁止の御曹司と甘すぎ電撃婚!?
社内恋愛禁止の大手自動車メーカーで働く文乃と、敏腕御曹司・聡は急速に惹かれ合い、内緒で電撃婚をした禁断の新婚夫婦!バレないよう仕事に徹するつもりが、会社でも周りの目を盗んで濃密に迫ってくる聡に、困りながらも日々ときめいてしまう文乃。この関係は絶対秘密なのに、クールな彼からは想像できないほどの激しい愛欲に抗いきれなくて…。

キャラクター紹介

矢立文乃(やだてふみの)

神郷自動車の経理部所属。自分より他人を思いやる優しく前向きな性格。

矢立 聡(やだてさとる)

神郷自動車の御曹司。仕事ができるクールなイケメンだが、妻の文乃には甘い。

試し読み

「あの、ちょっと伺ってもいいですか?」
「ん、どこかわからなかった?」
「いいえ、この件ではなく実は昨日――」
 成り行きを奈々恵さんに話し、昨日海外事業部の三沢さんが参考にするといった資料が正しいものかどうか確認する。
「海外事業のリコール対応の件だよね。えーっと、待って。これじゃない」
「えっ!」
 私は自分の顔が青ざめていくのがわかった。
「でも、それで合ってるって三沢さんが言っていたのに」
「違うの、これは古いデータで、参照するべきものは別のデータなのよ」
「どうしよう、私……」
「文乃ちゃんが悪いわけじゃないわ、ちょっと待ってね。会議は――あ~もう始まってるみたいね」
 会議室使用一覧を確認すると、すでに該当の会議は開始されていた。早い時刻から始める会議だから、彼も急いだのだろう。
「どうしよう……」
 不確実なデータを提供してしまったと、私は深い罪悪感を覚えた。
「仕方ないわよ、向こうがいいって言えばそれ以上はできないでしょう。そもそも会議前日の夜の時点で資料ができていないなんて向こうのミスじゃない」
 奈々恵さんのフォローの言葉も、なかなか胸に響かない。
 今回の件で、大きな支障が出たらどうしようかと思い悩む。しかもこれは聡がリーダーをしている案件だ。
 彼が日々努力して仕事をしているのを一番知っているはずの自分が、間接的だとしても足を引っ張ってしまい胸が苦しくなる。
「ほら、そんなに落ち込まない。今乗り込んでいくわけにはいかないから、後で一緒に話をしに行こう」
「……はい」
 肩を落とした私は、その後なかなか集中できないまま、会議が終わるのを今か今かと、そわそわしながら待った。 
 会議の終了予定時刻が過ぎたころ、奈々恵さんが海外事業部に連絡を入れ、ふたりでその場に向かう。
 会議はすでに終了しており、何人かが中から出てきていた。会議室に入ると三沢さんがちょうど机から立ち上がったところだった。
「経理部の南部です。三沢さん、昨日こちらに問い合わせいただいた件で、お話があるのですが」
 奈々恵さんの後ろに立つ私の顔を見て、なんの話かすぐにわかったようだ。
「え、問題なく会議終わったけど、何? 俺、忙しいんだけどな」
 タブレットを手に持つと、歩きだそうとする。
「本当に問題ありませんでしたか? 昨日あなたが参考にしたデータ、最新のものではないはずですが」
 奈々恵さんは、気を遣って周囲にあまり聞こえないように小声で彼に確認した。
「はぁ? なんだって!」
 しかし彼は驚いたのか声を上げ、奈々恵さんの後ろに控えていた私に視線を向ける。
「俺はその子に確認したんだ。どうしてくれるんだ」
「えっ……そんな、私が念のため確認をとるって言ったら、その必要はないって三沢さんがおっしゃったじゃないですか」
 まさか責任を押し付けられるとは思っていなかった私は、驚いたと同時に怒りが胸に渦巻く。
「念のためだろ? 君がデータを呼び出したんだから、責任は君にある」
 まさかの暴論にどう対処していいのかわからない。
「三沢さん、その言い訳は通用しないわよ。そもそもそのデータが古いと気付かないというのは担当者失格じゃないの? とにかくその資料見せてください」
 あまりの言い方に、奈々恵さんが間に入った。仕事のできる彼女の言葉に三沢さんはばつが悪そうにしながらタブレットで該当資料を呼び出した。
 奈々恵さんは画面にすばやく目を走らせて、確認する。
「おかしいわね」
「どうかしたんですか?」
「これ、全部正しい数字だわ。どうしてかしら?」
 三沢さんの慌てた様子から、彼が正しいデータを参照できた可能性は低い。ならばなぜ……。
「それなら俺が、昨日のうちに直しておきましたよ」
 いきなり現れたのは、聡だった。
「矢立が?」
 三沢さんが露骨に嫌そうな顔をした。
「はい。会議の前にすべての資料に目を通すのは常識ですから。三沢さんの資料だけ昨日深夜までアップされていなかったので心配しました。たまたま気が付いたので直しておきました。誰でも気が付くはずの、目立つ間違いなのでね」
 あえて三沢さんを刺激するような言い方に、ハラハラする。
「そ、それは他にも大きなプロジェクトと重なっていて――」
「そうでしょう、そうでしょう。三沢さんともあろう人が、ミスを後輩に押し付けるなんてしないはずです。絶対」
「あ、当たり前だろう。資料には問題がなかったんだからな、俺は行くから」 
 三沢さんは奈々恵さんの手の中にあったタブレットを強引に取り上げて会議室を出ていった。
 私はあっけにとられてその背中をじっと見ていた。
「すみません、そちらにご迷惑がかかったようで」
「あ、いいのよ。別に」
 奈々恵さんは三沢さんの態度に呆れている。
「もともと、三沢さん俺がリーダーになったのが気に入らなかったみたいで。仕事が雑なんですよ」
「でもよく気が付いたわね。簡単そうに言っていたけど、そんなすぐに見つけられるような間違いじゃないはずよ」
 たしかにそうだ。かなり注意深くチェックしないとわからない。
「たまたまですよ。南部さん、十和田さん、わざわざ来ていただきありがとうございました」
「どういたしまして。こちらもほっとしたわ。ね、文乃ちゃん」
「はい」
 ことなきを得て安心した。
「じゃあ、行こう。矢立君も戻るでしょ?」
 歩きだした奈々恵さんについていく。
「いや、俺はここの片付けしてから行くんで」
 会議室の片付けは、アシスタントや事務補助の社員の仕事だ。本来ならプロジェクトリーダーはしない仕事だ。
「矢立君が? 今日暇なの?」
 奈々恵さんの言葉に、聡は苦笑いする。
「そういうわけじゃないけど、俺も一応新人なんで。こういうところで点数稼いでおかないとね。では」
 聡は言い残すと、率先して片付けを始めた。その背中を見て、こんな努力もしているのかと胸が熱くなる。
「じゃあ、帰りましょうか。仕事が山積みだわ」
「はい」
 本当は手伝いたいが、私には私の仕事がある。しかしどうしようもなく聡に気持ちを伝えたくて、スマートフォンからお礼のメッセージを送った。
 その返信が《昼休み、五階の資料室で待つ》という短いものだった。

 そしてその日の昼休み。
 少し午前の仕事が押した私は、急いで聡のもとに向かっていた。
 この時間あまり人気のないこのフロア。早足で一目散に資料室に向かう。この一年間、社内で聡と会うときは決まってここを利用していた。
 扉を開けて中に入ると、奥のところからあかりが漏れていた。聡だろうとは思うけれど万一違うといけないので、ゆっくりと近付く。
 コツコツとヒールの音を響かせ、聡がいるであろう場所を覗き込んだ瞬間、背後から誰かに抱きしめられた。
「きゃあああ」
「しー! 俺だって俺。静かに」
 悲鳴を上げた私の口を聡が押さえる。声の主がわかってほっとした。聡が手を私の口元からはずすと、しっかり抗議する。
「もう、心臓が飛び出るかと思った」
「悪い。文乃が全然気が付いてないから。ちょっと驚かせようと思ったんだ。ごめん、ほら」
 聡が両手を広げて、目でおいでと言う。
 私は一歩近づいて彼の胸に顔をうずめた。優しく抱きしめられると、それだけで幸せを感じる。彼の胸は私にとって本当に特別な場所だ。
「聡、さっきはありがとう」
「いや、文乃は悪くないだろ。本当なら、ミスは三沢さんが正すべきだと思うけど、旧データにアクセスした人の中に文乃の名前を見つけて嫌な予感がしたんだ。修正しておいてよかった。まあ、三沢さんあんな人だからもともと信用してないしな」
「でも、私がちゃんと把握しておけば何も問題にならなかったのに。結果的に聡の仕事を増やしちゃった」
 一秒でも早く帰って、体を休めてほしいといつも思っている。しかし間接的に足を引っ張ってしまった。
「俺だってすべての仕事を把握してるわけじゃない。だから文乃は悪くない。ただ世間にはいろんな人がいるから、これも勉強だな」
「うん、ありがとう」
 腕の中で見上げると、微笑んだ彼と目が合った。
「ピンチを救った俺に、キスのお礼は?」
「もう……ここ、社内だよ」
「あぁ、でもふたりっきりだ」
 言いだしたら聞かないのが聡だ。
 私は少し背伸びして彼の唇にそっと自分の唇をつけた。すぐにかかとをつけて彼から距離を取る。
「それだけ? 感謝が足りないんじゃないか?」
 不満そうな彼を見て、思わず笑みがこぼれる。
「そんなにお礼を催促する人、初めてだよ」
「いいから、ほら」
 今度は聡が自ら、私に口づける。私がしたキスの何倍も濃厚なキスに、頭がクラクラする。
「ン……もう、無理」
 ぐっと胸を押すとやっと離れた。
「このくらいじゃ足りないけど、我慢するか。サンドイッチ買ってあるから一緒に食おう」
「うん、ありがとう」
 すぐに切り替えられる聡がうらやましい。私は体がふわふわして現実にまだ戻れていない。
 誰かが持ち込んだ事務椅子にふたりで並んで座った。サンドイッチと一緒に準備されていたオレンジジュースを一口飲むとやっと落ち着いた。
「これ、文乃の好きなトマトがたっぷりのやつ」
「ありがとう」
 聡に手渡されたサンドイッチをほおばる。フレッシュなトマトとハムのサンドイッチにからしマヨネーズがよく合う。
「おいしい」
「だろ?」
 社内ではただの同期の私たちなので、こうやってふたりっきりでランチをとる機会はまずない。だから今日のこの時間は私にとって特別だ。
「ルールを破っていて、不謹慎だと思うけど」
「ん?」
 聡が私の顔を見つめる。
「やっぱり社内恋愛っていいね。禁止なんておかしいよ」
「そうだな。必ず撤廃させるからもう少し待っていてくれ」
「うん。私もなんの力もないけど、聡を一番応援してるからね」
「あぁ。それで十分だ」
 食事を終えた聡が、私の左手をぎゅっと握り締めた。その手の温かさと強さに私はこれからもずっと心を奪われ続けるのだろう。


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