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マーマレード文庫&マーマレードコミックス > 記事 > マーマレード文庫 > 離婚予定のエリート警視正から、二年ぶりの熱情を注がれて陥落しそうです~愛するきみを手放せるわけがない~

書籍詳細

  • マーマレード文庫

離婚予定のエリート警視正から、二年ぶりの熱情を注がれて陥落しそうです~愛するきみを手放せるわけがない~

  • マーマレード文庫
  • 著者: 砂川雨路
  • 表紙イラスト: 東由宇
  • ISBN:978-4-596-53913-7
  • ページ数:320
  • 発売日:2024年3月8日
  • 定価:650+税

キーワード

  • 初心
  • 警視正
  • 赤ちゃん・子ども
  • 年の差
書籍
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電子書籍
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あらすじ

離れていた旦那様と別れを決意したら、息子ごと溺愛で囲われて!?
年上で警察官僚の蒼梧と、お見合い結婚をした愛生。しかし新婚早々、彼の海外赴任が決定。事情が重なり、愛生は二年間、息子をひとり育てながら夫の帰りを待つことに。一途に蒼梧を想っていた彼女だが、ある理由で自分たちは不要だと感じて離婚を宣言し…! ところが帰国した蒼梧に離婚を拒まれ、昼夜を問わず彼に激愛を刻み付けられて――。

キャラクター紹介

巴 愛生(ともえ あい)

ひと回り年上の蒼梧に惹かれて二十二歳で彼の妻に。大人の女性であろうと思うがゆえ、甘え下手な面も。

巴 蒼梧(ともえ そうご)

結婚して間もなく警視正に昇進したエリート。表情が読みづらくクールな雰囲気だが、愛生を溺愛している。

試し読み

 二十時前、お風呂が終わると伊織はこてんと眠ってしまった。いつもは寝る前にひと騒ぎするのに、くたびれたようでたいした寝かしつけもしないうちに夢の中だ。
 寝室の和室に行き、赤ちゃん用の布団に伊織を寝かせる。蒼梧さんは伊織が健やかな寝息を立てて眠りにつくのを見守っていた。
「可愛いな」
「はい」
「知らなかった。我が子というのはこんなに可愛いものなのか。想像していた伊織の何百倍も可愛いよ」
 しみじみと言う声は幸せそうだった。この幸せはぬか喜びに終わる。私は離婚するつもりなのだから。
「愛生」
「はい」
「ここまで伊織を育ててくれてありがとう。あと四ヶ月で、この家に戻ってこられる。それからは一緒に育児をしよう」
 なんと答えたらいいだろう。ここは笑顔で嬉しいですとでも言えばいいのに、嘘をついているようでできない。
「愛生」
 私を呼ぶ彼の声の熱量に変化があった。腰がぞくりとするその呼び方……。
「蒼梧さん……?」
「やっとこちらを見てくれた」
 常夜灯の橙色の光の下、蒼梧さんの美貌を妖しく浮かび上がらせる。色香のある瞳が私を射貫いている。
「愛生、ようやくきみに会えた」
「あの……」
「きみに触れる日を夢見てきた。長い間」
 情念すら感じる声音に、知らず膝で後ずさりしていた。しかし、蒼梧さんの手が私の肩をつかんでいる。
「もう我慢できない」
 言葉と同時に強引に唇を重ねられた。獰猛なほどのキスに一瞬混乱する。
 私は知っている。いつも優しい蒼梧さんが、褥の中では激しく求めてくることを。
「待って……!」
「待てない」
 何度もキスを繰り返され、きつく抱きしめられ、力が入らなくなっていく。情けないことに、私の身体は喜んでいるのだ。やっと会えた蒼梧さんに抱かれたがっているのだ。あの頃のようにぐずぐずにとろけさせてほしいのだ。
 大きな手が私の背を撫で、身体を這い回りだす頃には甘い吐息が漏れていた。
「愛生」
 美しい瞳が私に尋ねている。抱いていいか、と。
「蒼梧さん……!」
 彼の首に腕を回してねだってしまった私は、情けないほどに意志が弱い。

 約二年ぶりの逢瀬だった。
 じっくりと互いを確かめ合うようなゆとりのある行為ではなかった。彼は夢中だったし、私も何も考えられなかった。伊織を起こさないように声を抑えるのに必死。蒼梧さんは容赦なく求めてくる。
 嵐のような行為を終え、夜半私は布団にうつ伏せに横たわり放心していた。
 なんてことだろう。離婚を考えている夫と、激しく求め合ってしまった。
「愛生、好きだ。愛しているよ」
 蒼梧さんが私を抱き寄せ、優しくささやく。その声にはまだたっぷりと愛欲が含まれていて、彼がまだまだ足りないのだとわかる。
 そして、彼の甘い声に私も腰が疼くし、身体がわなないてしまう。
 だけど……。
「蒼梧さん!」
 私は意を決して身体をがばりと起こした。
 起こしてから声が大きすぎたと口を押さえ、さらには腰が痛んでうめいた。
「愛生、久しぶりなのに激しくしすぎたよな。すまない」
「そ、そうじゃなくて!」
 私は蒼梧さんの胸を押し返し、言った。
「私……あなたと離婚したいと考えています!」
 蒼梧さんがぽかんと私を見ていた。こんな驚いた顔初めて見たというくらい。
 彼からしたら、たった今熱い愛を交わした妻に離婚を申し出られている状況である。ぽかんとしても当然だろう。
「すまない……思い切り……抱いてしまった」
 呆然と言う声と見開かれた目、そしてそのなんとも素直な言葉に妙な空気が流れた。
「いえ、私も拒めず……ご、ごめんなさい」
 腕を回して抱き寄せ、散々ねだっておいて、私もどの面下げてそんなことを言っているのだろう。恥ずかしさで全身が熱い。ぽかんとする蒼梧さんと真っ赤な私、端から見たらコメディみたいに間の抜けた状況だ。
「離婚した方がいいです」
 話を進めたくて、私は必死に厳しい口調に戻る。
「長く離れている間に、あなたの心も変わってしまったでしょうし!」
「いや、心変わりしたなら、こんなことしない……」
「私はもうあなたに必要ではないでしょうし!」
「必要だ。きみも伊織も」
 蒼梧さんは考えるように視線をさまよわせ、それから頷いた。
「やはり、あの写真か。彼女、ミランダとのことなら誤解だ。本当に何もない」
 信じられるものですか。私は唇をぎゅっとかみしめ、うつむいた。
「政治家の娘で、現地採用職員なんだが、日本が好きで日本人と結婚したくて相手を探しているようだ。俺は妻子がいると断り続けている」
 蒼梧さんがはっきりと言いきった。ちらりと彼の顔を見上げると、ものすごく真剣な表情をしていた。
 そんな顔したって、潔白の証拠はどこにもない。もちろん、それは悪魔の証明。不倫の証拠だって、あのスクリーンショット一枚きりなのだ。
「それでも……こんなに長く離れていて……あなたは全然平気そうで……。私はもう、あなたとうまくやっていける気がしません」
 振り絞るように言ったところで、伊織が声をあげた。起きてしまった。私は慌ててパジャマの上だけ羽織って、ミルクを作りにいく。夜間、どうしても一回はミルクを飲みたがるのだ。
 ミルクを作って戻ってくると、蒼梧さんが泣きわめく伊織をあやしていた。
 伊織を受け取り、哺乳瓶をくわえさせる。伊織は寝ぼけたまま哺乳瓶をがっちりと持ち、ごくごく飲み始めた。
 ふたりで伊織を見つめていると、蒼梧さんが口を開いた。
「すべては俺の責任だな」
 重々しく、決意に満ちた声だ。
「愛生を孤独にし、育児を任せっぱなしにしたせいだ。不倫を疑われるのも無理はない」
 やっと認めるのか。それなら、私たちはやはり終わりだ。
「電話もろくにせず、メッセージもいつも簡素だったな。プレゼントも、もしかしたら気が利かないものばかり贈っていたのかもしれない。きみにとっては役に立たない夫だ。別れたいと言われても仕方ないだろう」
「あなたは色々考えてくださっていたのだと思います。でも、私は……」
「俺は別れたくない」
 その言葉は力強かった。結婚をしないかと私に持ちかけたときも、初めての夜も、こんなに強い口調ではなかった。蒼梧さんは鬼気迫るといっても過言ではない表情で私を見ていた。
「あの……離婚は……」
「したくない。俺は、愛生が好きだから」
「え、あ、あの……」
「きみと伊織と三人で仲良く暮らしていきたい。伊織の弟か妹も産んでほしい」
 穏やかで紳士な年上の旦那様だったはず。そんな彼の初めて見せる姿。駄々でもこねているのかというくらいの強硬な姿勢に面食らってしまった。
「とはいえ、今も言った通りきみに愛想を尽かされかけているのは俺が悪い。だから、俺はここからすべてをかけて挽回するために努力を開始する」
「え? 努力ですか?」
「きみにもう一度愛してもらえる努力。伊織の父親として認めてもらえるための努力」
 そう言って、蒼梧さんは私をまっすぐに見つめた。
「まずは一時帰国の今日から一週間、徹底的にきみにわかってもらう」
「なに、を」
「俺が愛生を失いたくないという気持ちを」
 あっけにとられる私の腕から蒼梧さんは伊織を受け取る。伊織はすっかりミルクを飲み終えていた。蒼梧さんの腕の中でけぷっと可愛いげっぷをして、すぐに眠ってしまった。
「こんなに可愛い息子も、愛する妻も、手放せるわけがないだろう」
 真剣な横顔に私はもう何も言えなかった。
 私のことも伊織のことも、さほど大事ではないと思っていた。家族としての責任だけなのだろうと思っていた。
 どうやら、蒼梧さんの胸の中には熱く激しい想いがあるようで、私はまだその一端を見ただけなのかもしれない。


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