書籍詳細
次期社長に再会したら溺愛されてます ハッピーウエディング編
あらすじ
「俺の幸せにはきみが必要不可欠なんだ。」
京一×麻衣子 両想いのそのあとは……二人の愛が試される?
10年越しの初恋を実らせ、イケメン次期社長・京一と晴れて恋人同士になった麻衣子。甘~い同居生活がスタートし恋に仕事に充実の毎日……のはずが、頑張りすぎる麻衣子は仕事に没頭するあまり京一の想いに気づけず、二人の仲はギクシャクしてしまう。しかもそこへ思わぬ恋のライバルが出現して――!? 幼馴染との甘いシンデレラストーリー第2弾!!
キャラクター紹介
七森 麻衣子(ななもり まいこ)
化粧品会社「ピスカーラ」の新人デザイナー。真面目で頑張り屋。
瀬尾 京一(せお きょういち)
『ピスカーラ』次期社長。麻衣子の幼馴染みで恋人。
試し読み
あっという間に土曜日を迎えた。京ちゃんと約束した週末だ。
あの日から、さらに寝不足に拍車がかかり、明らかに顔に影響が出ていた。それをどうにかアミュレのコスメでごまかした。お気に入りのワンピースにカーディガンを羽織って、部屋を出る直前にリップを塗る。
待ち合わせ場所に着くと、すでに京ちゃんの車があった。
「待たせちゃった? ごめんね……!」
腕時計を見たら、約束の時間の五分前。とはいえ、よくよく考えたら京ちゃんはいつも早く来ていた。私もそれに合わせて、もう少し早く出発すればよかった。
「俺が早く着いただけ。遅刻もしてないのに、なんで謝るの」
今日の京ちゃんは、この間みたいな雰囲気ではなかった。内心、安堵してナビシートに座る。
「今日は行くところ決めてきたんだ。いい?」
「うん。もちろん。どこに行くの?」
「着くまで秘密」
「えー?」
和やかなムードで車は走り出す。高速道路も利用し、約一時間半乗り続け、ついに目的地に到着したらしく、京ちゃんはエンジンを止めた。私は車の中から、きょろきょろと辺りを見回す。
「リンゴ園……?」
可愛いイラストの看板を見つけ、読み上げた。京ちゃんはニッと白い歯を見せる。
「麻衣子、フルーツ全般好きだったはずだよなあって思って」
京ちゃんの言う通り、私は小さい頃から果物が大好き。よく京ちゃんの分ももらって食べていたくらい。
「うん、好き。今の季節、お店でもいろいろ種類があっていいよね」
意外なデート先に、思わず顔がほころんだ。
京ちゃんが車から降りるのを見て、私も外に出た。
「リンゴは疲労回復にもいいらしいから。リンゴが赤くなれば医者は青くなるって言うだろ」
「そういえば、聞いたことあるような」
受付に向かって歩きながら宙を見てつぶやくと、さらに京ちゃんが言う。
「麻衣子、頑張りすぎてるからたくさん食べないと」
「えっ……」
受付でペンを走らせる京ちゃんを凝視する。
もしかすると、私を心配して? というか私、そんなにわかりやすく疲れが出てるのかな……。確かに今朝の顔は、すごく不細工だったな……。
「ほら、麻衣子。受付したから、中に入ろう」
彼はにこやかに私の手を取り、歩を進めた。
「手が届くところより、高い位置にあって太陽を浴びてるリンゴがおすすめだって」
「高い位置? あ、あれは? こっちのほうが赤くて美味しそうかな?」
ふたりで上ばかり眺めて歩き、たわわに実っている木を見つけたら、京ちゃんが脚立に乗ってリンゴを捥ぐ。下で待っていた私は、彼からふたつリンゴを受け取った。
「あっちにテーブルと椅子があるって。係員が剥いてくれるみたいだよ」
「へえ。そうなんだ」
京ちゃんに促され、係の人にリンゴを渡す。すると、機械並みに早く皮剥きを終えるものだから驚いた。さすがプロだ。
きれいにカットされたリンゴが乗ったお皿を受け取り、ひと口頬張る。しゃくっと瑞々しい音とともに、上品な甘さが口いっぱいに広がった。
「甘い~! 美味しい!」
「本当だ」
互いに同じものを食べて笑い合う。とてもシンプルで、幸せなひととき。
一緒に暮らせば、こういう時間を今よりも多く共有できる。だったら、あまり深く考える必要なんかないのかもしれない。
秋晴れの温かな陽ざしを浴びて穏やかに過ごせば、肩の力が抜けて心がリフレッシュされる気がした。
私はお皿に乗っていた最後のリンゴをどうにか平らげ、お腹に手を置いた。
「食べ放題とはいえ、リンゴはさすがに一個が限界かも」
「はは。大丈夫だよ。持って帰れるから、あとは麻衣子の家の分だけカゴに入れよう」
京ちゃんはお皿を片付け、再びカゴを持った。
「ありがとう」
ごく自然に私の家まで気にしてくれる。月曜日もそうだった。
きっと自分が仕事で疲れているというのではなくて、夕食を作った私の母の気持ちと、母に『食事はいらない』と告げなければならない私の気持ちを汲んで、あのときは早々に『帰ろう』って言ったんだと思っていた。
考え事をしつつ、私もリンゴをふたつ収穫する。カゴにそっと入れ、また新たなリンゴを探し始めた途端、京ちゃんが目を瞬かせた。
「麻衣子、こんなに食べられるの?」
カゴにはすでにリンゴが六つ。さらに私が追加しようとするものだから、さすがに驚いたみたいだ。
「あ、京ちゃんの分もと思って。今日、時間があるならこの後、京ちゃんのお家でアップルパイとかジャムとか作ろうかなあと」
せっかく美味しいリンゴがたくさんなっているから、京ちゃんともうちょっと一緒に味わいたいし。
「あ! パイは時間がかかるから、冷凍のパイシートにしようと思って。いい? あ、でも甘いものは少ししか食べないんだっけ」
「いや、食べるよ」
「そう? 無理はしない……で」
瞬間、こめかみにキスされる。
「きょ……こ、こんな場所で」
近くには誰もいないとはいえ、園内にはほかにもお客さんがいるのに。
「だって、可愛すぎて。麻衣子の作ったものなら、なんでも食べる」
たじろぐ私とは逆で、京ちゃんはまったく気にしていない様子だ。にっこり笑顔で、私の頭をぽんぽんと撫でる。おそらく今の私はリンゴに負けないくらい、真っ赤になっているはず。自覚すると余計に頬が火照ってしまう。
動悸をごまかすために京ちゃんからわざと離れ、再び美味しそうなリンゴを探した。数分して、ひとつ艶やかなリンゴを手にしたところに京ちゃんがやってきた。
「もういい?」
京ちゃんは心地のいい風に髪を揺らし、瞳を細めて私を見る。さっきの動揺が残っているせいか、彼の微笑みがやたらと色っぽく感じられ、さらにドキドキが増す。
「う、うん。これ以上はさすがに食べきれな……」
パッと視線を落として答えるや否や、彼が私の耳元に唇を寄せた。
「早く帰って、麻衣子を抱きしめたい」
ささやかれた言葉が耳孔を通り、胸の奥を甘く締めつける。
今持っているリンゴみたいに、甘酸っぱい気持ちが身体全部に広がった。
「よし。あとはオーブンで二十分くらい焼けば終わり」
広いキッチンで中腰になり、オーブンを覗いてつぶやいた。ソファからキッチンへやってきた京ちゃんが興味深げに言う。
「そんなにすぐできるものなんだ」
「パイ生地から作るとなると、もっと時間はかかっちゃうよ。冷凍パイシートって本当便利なんだ~。この前も、お母さんと一緒にシチューポットパイ作って……」
うっかりなにも考えずに話を膨らませたあとに、はたと思い出す。
月曜の夜、私の母が料理作っているだろうし……っていう流れから、『一緒に暮らそう』って言われたんだった。
「そうなんだ。美味しそう」
「う、うん。美味しかった。ただパイシートで蓋をして焼くだけなんだけどね! 今度……作る?」
「本当? 楽しみにしてる」
変な間を生んじゃった気がしたけど、京ちゃんは普通。私はこっそりと気持ちを落ち着かせる。
「麻衣子、休んだら? 帰ってきて休む間もなくキッチンに入ってたし」
「あ、だけどまだジャムを煮詰めてるから」
オーブンは焼きあがるまで置いておいても大丈夫。あとは、IHにかけているジャムの鍋を見ていなきゃいけない。
「それくらいなら俺が見れるから。ソファで紅茶でも飲んでて。今、俺が用意するよ」
「ええ? うーん。じゃあ私、洗い物だけ済ませ……ひゃっ」
京ちゃんと場所を交代し、シンクへ行こうとしたらスリッパの先を引っかけ、つんのめる。よろめいた身体を、京ちゃんが片腕で支えた。
「ごっ、ごめんね」
なにも躓くものもないのに失態だ。
恥ずかしくなって俯くと、京ちゃんはそのまま私を後ろから抱きしめた。ドキッとしたのも束の間、気づけば彼に横抱きされていて目を剥いた。
「京ちゃ……急になにする……っ」
「こうでもしないと、麻衣子はずっと動き続けそうだから」
優しい瞳を向けられ、私は黙っておとなしくソファに運ばれる。京ちゃんは私をそっと下ろしたあと、旋毛にキスを落とした。彼をまともに見られず、視線を彷徨わせる。キッチンに立つ姿を盗み見て、ドキドキと脈打つ胸に手を添えた。
数分経って、京ちゃんがティーカップを持ってきた。綺麗に透き通ったオレンジの水色(ルビ:すいしょく)を覗き込めば、芳醇な香りが鼻孔を擽り、自然と頬が緩む。「いただきます」と小さくつぶやき、ゆっくり口に含む。まるで、身体全体に紅茶の香りと温かさが広がるようで、すっかりリラックスした。
視界が霞んでいる。はっきりと見えない分、わかるのは静かな空間と微かなアップルパイの匂い。アップルパイが焼けたんだ……とぼんやり考えたところで、はっと完全に目を覚ます。
「えっ、嘘!」
上半身を起こすと、身体にはブランケットがかけられている。知らぬ間にソファに悠々と足を延ばして寝ていたなんて。
きょろきょろと辺りを見回すも、京ちゃんの姿はない。足元を見れば、スリッパが揃えてあった。私は足を通し、ドアへと足を向ける。
「ひゃっ」
出会い頭に京ちゃんとぶつかりそうになって声を上げた。
「麻衣子! 起きたの?」
「うん。私寝ちゃってたんだね……。ごめんね」
せっかくの休日デートを台無しにしてしまった。
「俺は麻衣子の気持ちよさそうな寝顔が見れて安心したから、気にしないで」
顔を上げるや否や京ちゃんに促され、再びソファに戻って並んで座る。彼は長い睫毛を伏せ、ゆっくりと口を開いた。
「麻衣子、今は夢中になってて気づいてないんだろうね。かなり疲れが溜まってるよ。それに抱え上げてやっぱり痩せたって確信した。……俺のせいだね」
「なっ……どうして京ちゃんのせいになるの」
極端な言い分に、思わず大きな声を出す。
気にかけられているのはわかっていた。ただ、まさかそこまで心配させていたとは思わなかった。
京ちゃんは眉を寄せる私を見て、「ふっ」と苦笑いを浮かべる。
「コスメデザインの件を勧めたら、麻衣子がより多忙になるのは予想できていた。だけど、前回のコンペですごくがっかりしていたから、同じようなチャンスがあれば挑戦したいだろうなと思ってつい……」
「それは! 京ちゃんから教えてもらわなくても、社内で知れば、私は絶対にやるって言ってたし」
「うん。だけどやっぱり麻衣子、自分を追い込みすぎだよ。焦りすぎなくらい」
言下に言葉を重ねられ、私は口を噤む。
基本的に京ちゃんは、私の話を必ず最後まで聞く。それをせず自分の意見を言ってしまうくらい、彼も感情的になっているんだろう。
京ちゃんの真剣な気持ちに触れ、私はきちんと目を合わせて向き合う。
「心配かけてごめんなさい。私も……自分で欲張りだって思ってる。それでも私は、じっとしていられない」
心配させて迷惑をかけているってわかってる。そうかといってあきらめるのは嫌だし、夢を追いかけるときにペース配分を考えられるほど器用じゃない。なら、もう突き進むのみだ。
こういう部分が、年上で落ち着いた性格の京ちゃんとの差なんだろうな。
心の中で自分の足らない部分に辟易していると、ふいに頭を抱き寄せられた。
「それも理解してるよ」
京ちゃんの胸にくっついて優しい声を聞いていたら、なんだか涙が出そうになる。
「そんな麻衣子を、家族が支えてくれているのも。だけど俺は、麻衣子が部屋にこもって根詰めてるんじゃないかとか、食事も睡眠もまともにとっていないかもって、気が気じゃない」
京ちゃんの手の力が、ぎゅうっと強くなるのを感じる。なにか言わなきゃ、と腕の中から京ちゃんを見上げようとした瞬間。
「マイ。俺のところに来てほしい」
切なげな瞳でそう言って、彼は私の頬に軽く口づける。私が彼の言動に翻弄されていたら、ポケットから出した小さな箱をおもむろに差し出された。
なにかと思って注視すれば、開かれた箱の中にあったのは指輪――ピンキーリング。
京ちゃんは私の右手を取り、小指にリングを通す。
「これ……なんで?」
私はすっかり、『俺のところに来てほしい』という言葉も忘れ、真ん中にリボンを象ったピンクゴールドのリングしか見えなくなる。
「婚約指輪を贈ろうかとも思ったけど、今回の急な話は俺のわがままみたいなものだから……。それはまた改めてプレゼントする。だから今回はこれで」
「可愛い……。なんか私、してもらってばっかり」
プレゼントだけじゃなく、気晴らしに遠くまで連れていってもらったり、普段から気を遣わせてばかりだ。
「これくらいでそんなこと言うの? 俺、まだまだ麻衣子にしてあげたいことたくさんあるよ」
「え?」
「麻衣子の好きなもの食べに行ったり、旅行にも連れていきたいし。あ、世界中のいろんなものを一緒に見て回るのもいいな。各国のショップで可愛い麻衣子をさらに着飾らせて自慢して歩きたい」
「じ、自慢って。私なんか」
「可愛いよ。素直でまっすぐな性格や、頑張り屋で甘え下手なとこも全部」
京ちゃんが臆面もなく褒めるものだから、恥ずかしくなって顔が熱くなる。火照る頬に両手を添えて隠した。
すると、手を重ねられ、至極真剣な瞳と視線がぶつかった。
「お互い仕事が忙しいからこそ、一日でも早く一緒にいる時間を増やしたい」
胸が高鳴る。もう何度もこうして触れられて、大人になった彼を自分の両眼に映し出しているのに全然慣れない。ずっとドキドキし続けてしまう。
彼の真剣な眼差しに心を奪われ、いつの間にか力が抜け落ちた手は京ちゃんがしっかりと握っている。
安心も緊張も幸せもくれる、大きくて温かい手。
「麻衣子、俺と結婚してくれませんか。ずっと大切にするって約束する」
迷いなんてない。彼は絶対に約束を守る人だって知っている。それに、私も同じように大切にしたいって……ずっと一緒にいたいって思えるのは京ちゃんだけ。
「……はい。私でよければ」
気持ちが昂って目尻に涙が浮かぶ。零れ落ちないように堪えていたら、喉の奥が熱くって掠れ声になった。
視界がぼやけて、京ちゃんの表情もわからない。涙を拭おうとしたときに、力強く抱きしめられた。苦しいくらいの抱擁に、私の返事に喜んでくれているのかなと思った。
「すごくうれしい」
肩口に落とされた彼の言葉に、胸が甘く締めつけられる。
京ちゃんの声色が普段とちょっと違う。本当にうれしくてそれを必死に堪えているような、そんな声。
私は京ちゃんの背中に手を回し、きゅ、とシャツを握る。おもむろに瞼を下ろすと、京ちゃんと心音が重なった気がした。
「麻衣子は俺が一番欲しくて、何度もあきらめかけたものだから。ちょっと、感極まった。ごめん」
そう言った京ちゃんの声は、もう元通り。ゆっくり身体を離しつつ、傾けた顔が近づいてくる。ふたたび目を閉じると唇が重なった。数秒後、口を離していった京ちゃんは私の右手を掬い上げて微笑む。
「これは意味があるんだって。右手の小指にする指輪は、チャンスや幸せを呼び込むらしい。今の麻衣子にちょうどいいだろ?」
「そうなんだ。知らなかった」
私は改めて小指のリングを見つめ、ぽつりとつぶやいた。
「麻衣子の仕事をむやみに制限するつもりはないよ。俺も応援してるし支えたいと思ってる。ただひとつ、わかって。麻衣子の身体が心配なんだ」
京ちゃんは優しい。私よりも大人でいろいろな経験の差もあって、やっぱりどうしても守ってもらう側になってしまう。
きっと私が迷惑をかけないように、といくら頑張ったところで彼の負担はなくならない。
「重荷にならない? 一緒に住むって、私が仕事で疲れて落ち込んで、八つ当たりだってしちゃうかもしれないし……。京ちゃん、自分の家なのに休まらないかもしれないよ?」
「重荷だなんて思わないよ。確かに、毎日平和って保証はないかもしれないけれど、それが家族になるってことでしょ?」
柔らかな表情で言われ、どこかほっと安心する。同時に、『家族』というフレーズに背筋が伸びた。
これからずっと一緒にいるっていうのは、夫婦になり、家族になること。
支えてもらうばかりではなくて、私も彼のサポートをしていかなければならない。
もちろん嫌じゃない。一日でも早く、京ちゃんが自然と寄りかかれるような人になりたい。
「俺はね。麻衣子と〝家族みたいな関係〟じゃなく、彼氏彼女の関係になりたいと願っていた。それが叶った今、〝本当の家族〟になりたいって思ってる」
私たちは幼馴染み。六歳の差があって、兄と妹みたいな関係だった。さながら〝家族〟みたいだった、と私も思う。
「信じられないよ。私はずっと妹でしかいられないと思っていたのに、京ちゃんのお嫁さんになれるだなんて」
小さい頃から手を引かれ、後ろからついていくだけだった。ようやく隣に並んで歩けるようになったかと思ったら離れ離れになって、結局京ちゃんには追いつけないんだって打ちのめされた。
それが、家族として京ちゃんの横に立てる日が――。
私は夢見心地で京ちゃんを見つめる。右手の小指の感覚で、これは現実なのだと確かめた。
「どうぞよろしくお願いします」
私が頭を下げると、不安げな面持ちだった京ちゃんが見る見るうちに笑顔になる。私の返事ひとつで顔を綻ばせてくれるのが、なによりもうれしい。
「大好き」
私は大きく手を広げ、京ちゃんに思い切り抱きついた。