書籍詳細
エリート上司と秘密のキス
あらすじ
「嫌でも忘れられないようなやつ、してやる」
ワイルド系イケメン上司との突然のキスから始まる恋
地味で真面目なОL・澪のあだ名は「カタブツ片瀬」。そんな彼女の職場に、イケメン部長の家保嵩也が異動してきた。彼の歓送迎会の帰りに家まで送られ、酔った勢いでキスされてしまい、とまどう澪。忘れようとするが、大人の色気と甘い独占欲で迫ってくる彼に、ドキドキが止まらない……! 恋に臆病なOLとエリート上司のときめきオフィスラブ
キャラクター紹介
片瀬 澪(かたせ みお)
真面目すぎるけど実は心優しい女子。あだ名は「カタブツ片瀬」。
家保嵩也(いえやす たかや)
澪が勤める会社の営業部長。ワイルドな雰囲気のイケメンで、あだ名は「将軍」。
試し読み
震えそうになる両手を動かし、きゅっと控えめに、目の前にいる人物の背中を握りしめる。
「私も、家保部長のことが……好き、です」
言いながら羞恥に堪えきれず、顔を見られないよう部長の胸にひたいを擦りつけた。
家保部長も、さらに強く私を抱きしめてくれる。
「ずっと……もう、ずっとだ。俺は、おまえとこうしたかった」
私の耳もとに唇を寄せて、部長が熱っぽくささやいた。
あたたかい腕の中、顔を埋めたままこくこくと頷く。
……うん、私も。
私もずっと、あなたにこうして欲しかった。
家保部長が、私を包む腕の力を少しだけ緩める。
自然と顔を上げた私の頬に片手を添え、重ねるだけのキスを落とした。
「あんまり本気出すと、止まらなくなるからな。続きは──今晩、俺の家に来てもらってもいいが」
「っえ」
早すぎる展開に、見上げたその状態のまま顔を赤くして固まる。
斜め上の家保部長は、意地悪そうに笑っていた。一瞬冗談かと思いかけた私に、駄目押しの悪魔のささやきが追い打ちをかける。
「本気で。片瀬を、今度こそ持ち帰りたい」
「~~ッ」
直球すぎるセリフに、とっさの言葉が出なかった。
視線を合わせていられなくて、目を泳がせる。
それから観念した私は、再び彼の胸もとに顔を埋めながら小さく頷いたのだった。
「っん、ぶ、ちょう……っ!」
家保部長の住むマンションに着き、リビングのソファに隣り合って座った直後。タガが外れたように、強引な動作で唇を奪われる。
『とりあえず、残っている仕事を片付けたらすぐに行くから』
そう言った家保部長をビルの外にあるカフェで待って、一緒にここへやって来るまで……ずっと私は、ドキドキしっ放しで。
これは、夢なんじゃないかって。想いが通じ合った大好きな人のことを待ちながら、あまりの幸福に何度もそんなことを思っていた。
けれど今、彼に再び口づけられたことによって、その不安はあっさりどこかへ消えてしまう。
自分のことを欲しがってくれているとわかる熱い眼差しや生々しい感触が、これを現実だと教えてくれる。私はたまらなくなって、家保部長の胸もとに両手ですがりついた。
「『部長』はやめろ。こんなときに」
息継ぎの合間にできた隙間で、ふっと笑みをこぼしながら家保部長が言う。
すでに呼吸を乱している私はいっぱいいっぱいながらも、なんとか頭を働かせて言葉を返した。
「はあ……った、かや、さん?」
「『さん』もいらないけど。まあいい」
満足げにつぶやき、また唇を塞がれる。
舌を絡めて吸われると、身体中に甘い痺れが走ってますます何も考えられなくなっていく。
少しずつ体重をかけられていたのか、いつの間にか私の背中は、ソファの座面に沈み込んでいた。
「澪」
彼の声で名前を呼ばれるだけで、心も身体も震える。
奪うような、与えるような、攻めるような、甘やかすような。家保部長のキスはわけがわからなくなって、私をダメにしてしまう。
「すまないが、もう止められない。ずっと、澪に触れたいのを我慢してたんだ」